先月の広島のたび 3日目 [おでかけ]

広島3日目は、安芸津に足を伸ばしまして、富久長さんへ。

安芸津は、瀬戸内の海をのぞむのんびりした町です。
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抜けるような青空のもと、歩くこと10分。風情のあるお蔵に着きました。
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「富久長」といえば、この方、杜氏の美穂さん!
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なんやかんやとお会いしたことは何度かあって、いろんな杜氏さんからお話を伺ってたのですが、きちんとお話できるタイミングがなくて、今回はぜひしっかりお話を伺いたく、楽しみにしていました。

安芸津という場所は、2年前に白鴻さんにお邪魔したときに初めて「おお!ここか!」と思ったくらいで、瀬戸内だろうなとは思いつつ位置関係を理解できていない場所だったんです。東広島市の一番南側、瀬戸内海に面したところですが、山間部とは違って比較的温暖な場所のようです。でも桜が咲くのは東京よりも遅いくらい、春の遅い地方でもあるようです。
牡蠣が名産なのはよく知ってるのですが、実はじゃがいもが有名だそうです。軟水を生み出す赤土で作られるジャガイモはキメが細かく味わいに粘りがあって、他ではなかなか味わえない逸品だとか。お土産屋さんにも、安芸津のポテトが色々売られておりました。

そんなお話を伺いながら富久長さんの煙突を眺めますと、山間に素敵なたたずまいのおうちが・・・
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こちらなんと、広島の軟水醸造法を確立したといわれる醸造家三浦仙三郎のおうちだとか。広島の吟醸酒の評価の高さは氏の尽力によるところが大きいでしょうし、三浦仙三郎翁に可愛がってもらって富久長のお酒があるのだと話す美穂さんから、安芸津への大きな愛が感じられました。

以前、wowowの番組で、たまたまこちらのお蔵の放送を見ていて、そのときは大きなお蔵なイメージでしたが、実際に伺うと、実にコンパクトで、見事な動線の引かれたお蔵でした。
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小造りで、丁寧に作られてる様子が見て取れます。

広島では、いろんな広島生まれのお米が使われていますが、富久長さんで一番力を注いでいるのが「八反草」という品種。八反系統のルーツであり、広島酒米のルーツこそが現在では全く栽培されることのない「八反草」。
なかなか扱いの難しいお米のようですが、よい麹をつくり、低温長期醗酵に耐えるもろみになってもらうために、外硬内軟の蒸し上がりがどうしても必要。スパゲティのアル・デンテとちょうど逆のような、米の外側は硬くて溶けにくく内側は軟らかいという一種矛盾のような理想的な蒸米に仕上げるために、最も気を使うのは洗米と浸水だとおっしゃってました。もちろん、その後の麹つくり、もと造りなど、気を使うところは一杯あるのだけれど、ここを決めないとどうしようもないのだと。軟水での吟醸造りの大変さと、より高みをめざす研鑽がそこにはありました。

お話を伺いつつ移動して槽場へ。
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ヤブタは使わず、すべて槽にしたんだそうです。
佐瀬式じゃなくって、なんだったかな・・・思い出したらまた追記します;

富久長さんのお酒は、すべて無ろ過。そして火入れはすべて手作業で1回瓶火入れし、瓶貯蔵されるそうです。
それがどんなに大変かよくわかるので、びっくりしてしまいました。優しくふくよかな香りと、料理に寄り添うキレイな味わいを大事に考えると、こうするしかないのだと熱い想いを聞かせてくださいました。
お話の中で、とっても印象的だったのは「目指すのは小味なお酒」という言葉でした。お出汁の効いたお料理や、ポン酢でいただく優しいお料理に、そっと寄り添いつつ小味のあるお酒・・・まさに私がもっていた富久長さんのお酒のイメージそのものでした。派手な吟醸香に飾られることもなく、口を支配してしまうような旨みでもなく、パンチのある癖もなく、でもちゃんとした主張のあってこじんまりしたバランスシートが見事な円を描いてる感じ。それは美穂さんそのものなのかもしれません。

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美穂さんのおじいさまが趣味でつくったという素敵なお庭も拝見しました。
「手入れが大変でしょう?」と聞くと、「ほんとにね、この大変さを知ってくれる人がいると嬉しくなるくらい大変なんですよ」とお笑いになりました。お酒造りも、ほんと大変なんだと思いますが、ニコニコと笑い飛ばしてくださるのでしょう。今年は、お米の争奪戦だとお聞きしています。なかなか思うようにはいかないのかもしれませんが、今年もすばらしいお酒ができるのを心待ちにしたいと思います。

美穂さん、お忙しいところありがとうございました!
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